京セラ、KDDIの創業者であり、日本航空の名誉会長である、稲盛和夫師は、
1983年に盛和塾を開塾され、多くの経営者に教えを授けてこられました。
経営十二か条、京セラフィロソフィ、会計原則、アメーバー経営を掲げ、
「利他の心」をベースとした理念経営を、経営のあるべき姿として、提唱されてこられました。
2019年末をもって解散となりましたが、
世界で約15、000名の塾生が所属し、数多くの優秀な経営者を輩出されています。
稲盛和夫師は、会計については「稲盛会計学、7つの基本原則」と、
独立した原則を記されていますが、
マーケティングについては、独立した基本原則を定義されてません。
しかし、稲盛和夫師が、マーケティングを踏襲されていないか、というと、まったくそんなことはなく、
それよりも、マーケティングを中心に据えて考えられていたと言っても過言ではない、と、私は考えています。
1959年に創業した京都セラミック株式会社は、電子部品を中心として製造されていましたが、
セラミックの特性を活かし、半導体パッケージ、工具、釣り竿、人工関節、ボールペン、調理器具、人口宝石といった、
いままで社会になかった、多くの新しい商品を生み出してこられました。これは、マーケティングがあったからこそ実現できたことです。
『実践経営問答 こうして会社を強くする(PHPビジネス新書)にて、稲盛和夫師は、こう述べられています。
「私は、企業を発展させるものは創造しかないと考えています。新商品の開発も創造の一つです。私は創造には以下の四つの創造があると考えています。すなわち、「新しい需要を創造する」「新しい市場を創造する」「新しい技術を創造する」「新しい商品を創造する」がそれです。ただし、これらは独立して存在するのではなく、混然一体となったものなのです。」
わたしは、この「4つの創造」こそが、マーケティングとはなにか、を分かりやすく説明した言葉だと、感じています。
つまり、稲盛経営哲学は、マーケティングを内包している、と言って良いと思います。
「マーケティング」の本質とは、マーケットを意識して、企業活動を行うこと、です。
これは、稲盛和夫師のおっしゃる「利他の心」「お客様第一主義」と同じです。
わたしが提唱している『マーケティング志向の7つの行動則』のうち、
>「熟考して値決めする」
の4項目は、経営十二か条の項目から、売上創出に関わる項目をピックアップし、
マーケティングに限定した方向に書き換えた項目です。
また、
>「理念を貫く」
は、稲盛和夫氏の提唱されるフィロソフィ経営を念頭に置いております。
稲盛経営哲学を学んでこられた方にとって、私の書いたことは「当たり前のこと」であり、
それどころか、一部分に手を加えた「不完全なもの」です。
今回、完全なものに、あえて手を加えることを、躊躇しましたが、
「マーケティング志向」という、多くの人が興味を持つ切り口で、
稲盛経営哲学の一端をお伝えすることは、
いままで、稲盛経営哲学を触れたことのない人にとって、
稲盛経営哲学を知るきっかけに繋がるのではないかと思い
不遜を承知で、提唱させて頂きました。
今回、「マーケティング志向の7つの行動則」で、感じたことですが、
稲盛和夫師ご自身の経験と実績を根拠として記された「稲盛経営哲学」は、
独自性を持っていながら、既存の経営理論と矛盾しておらず、
それどころか、既存の経営理論をもって、裏付けができるということです。
その最も大きな理由は、
稲盛経営哲学の根本となる「利他の心」が、
これは、マーケット、つまり、社会とお客様を
企業活動の中心として考えるマーケティング、
そのものだからです。
今回、稲盛経営哲学と、既存の経営理論を繋ぐことが、
稲盛経営哲学を補完、補強することにつながれば、嬉しく思います。
そして、より多くの人が、稲盛経営哲学を学ぶきっかけに繋がれば幸いです。
わたし自身も、自分の出来る形で、稲盛経営哲学を広めるととともに、
それを実践し、効果を証明していきたいと考えております。
〇「マーケティング志向のための7つの行動則」
・お客様/見込み客の立場で考え、適切にコミュニケーションする
〇 ブログ「菱二私論」について
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