「マーケティング志向のための7つの行動則」の4項目となります。
自社の商品に唯一無二の独自性があり、その商品のみが要望を叶えるのであれば、
お客様は、迷うことなく、自社の商品を手に取るはずです。
しかし、現実としては、市場にはモノがあふれ、多くの競合他社がひしめき合っています。
お客様の要望を、ただ単純に満たすだけでは、選んでいただくことはできません。
お客様に選んでいただくために、
自社の商品を、「お客様にとってのベスト」にしましょう。
すべての要素で自社の商品が競合他社より優れていれば、何の問題もありません。
しかし、それは、現実的には難しいことです。
たとえ全ての面において優位でなかったとしても、それでもなお、
お客様に選んでいただくには、どうすればよいのでしょうか。
[目次]
1.自社の強みを認識し、自社が勝てるカテゴリを作る(集中戦略)
1.自社の強みを認識し、自社が勝てるカテゴリを作る(集中戦略)
自社商品には、競合商品に比べ、弱い部分もあれば、強い部分もあるはずです。
たとえば、自社がテントを販売していたとしましょう。
他社のテントに比べると、重くて、運ぶのが大変とします。
自分で担いで山を登るお客様は、軽さを優先されるので、
選んでいただくことは難しそうです。
しかし、オートキャンプ場でテントをするお客様は、
自動車で道具を運べるので、重さは気にされません。
もし、組み立てやすさ、快適性、居住空間の広さで優っていれば、
決して不利ではなく、有利であると言えるでしょう。
お客様が重要視する要素は、ひとそれぞれです。
自社が「強い」要素を、重要視されるお客様を、ターゲットとすれば
自社の商品は、そのままで、ベストになれるのです。
戦略を考えるにあたり
「お客様が何を求めているのか」
「競合他社との比較」
という情報は、極めて重要ということです。
※ この、お客様(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を
3Cと呼びます。
正しい判断を下すにあたり、正しい情報が必要です。
常に情報収集を怠らないようにしましょう。
自社の商品の「強み(Strong)」「弱み(Weak)」を調べてみましょう。
※ 「チャンス、追い風(Oppotunity)」と「心配事、向かい風(Thread)」の
2つの外部環境を加え、SWOT分析と呼びます。
自社の商品がベストになるためには、2つの競争戦略があります。
ひとつは「自社が得意とする、競合に勝てるカテゴリに、商品を展開する」方法です。
さきほどの「重いが、組み立てやすい、居住空間の広いテント」を例にとると、
「オートキャンプ用テント」というカテゴリを作れば、優位に立てます。
もうひとつは「競合のいないカテゴリに、商品を展開する」です。
そもそも、競合がいない、あるいは、少ないカテゴリに商品を展開すれば、
ベストになることは決して難しくありません。(たとえば、ホームレス用テント、など)
競合の少ない地方、極めて専門的な業界では、
こういった状況が起こり得ます。(ニッチと呼ばれます)
もし自社が、カテゴリでのシェアトップに立てば、
知名度が上がり、安心感と信頼に繋がります。
さらなるシェア拡大の追い風となるため、利益率が高いようであれば、
さらに注力して、事業拡大を図るべきでしょう。
しかし逆に、競合が強く、ほとんどシェアが獲得できない場合は、
知名度は低くなり、お客様の信頼獲得に多くのコストが必要になります。
シェア拡大には向かい風となるため、利益率が低いようであれば、
事業撤退を考える必要もあります。
※ 将来性と収益で事業の取捨選択することを、
プロダクトポートフォリオマネージメントと呼びます。
集中戦略を取る時には、
ぜひカテゴリ内でのトップシェアを取ることを目指しましょう。
2.実力を伸ばし、正攻法で戦う(差別化戦略)
集中戦略に取り組んでも、そのカテゴリが魅力的になると、
新たな競合他社が参入してきます。
自社の強みが、設備のような、資金投下で追随できる要素であれば、
新規参入が容易になり、ベストを守ることが難しくなります。
また、自社が中小企業であれば、特別な強みを持っていることも少なく、
競合他社が無数に存在する環境では、競合を想定した競争戦略を立てることは、
現実的ではありません。
そういったときには、競合を意識せず、
「どんな競合が来ても、負けない実力を磨き上げる」という
正攻法に取り組むことになります。
新規参入に負けない実力を伸ばすためには、
まず「理念を貫く」ことが大切です。
なぜなら、理念(共通価値)を貫くことで築き上げられた「信用」が、
競合他社に対しての強みになるからです。
(信用を獲得することは一朝一夕にはできません。)
また、理念を貫くためには、努力の積み重ねが必要ですが、
その過程で、自然と、自社の実力が磨かれます。
理念を共有し、守っている全従業員の存在自体が、強みになります。
(それぞれの部門が、企業全体に貢献することを「バリューチェーン」と呼びます)
また、自社の実力は、実は、社内だけでなく、
お客様、ビジネスパートナー(協力会社、資材提供者)によっても、
支えられています。
例えば、高級レストランでは、
新鮮で貴重な食材を手に入れられる農家、漁師との繋がりが、
自社の強みになります。
また、上得意のお客様や
味にうるさい料理研究家、雑誌編集者とのお付き合いも、
自社の強みと言えます。
自社の歴史、文化、社風に加え、
お客様、ビジネスパートナーにも目を向けることで、
磨くべき自社の「強み」を探してみましょう。
現状に満足するのではなく、さらなる高みを目指し、
創意工夫を重ね、強みを伸ばしましょう。
他社にできることは、必ず自社もできると考え、弱みを無くしましょう。
だれにも負けない努力を続け、実力を伸ばし、
お客様にとってのベストになることを、目指しましょう。
3.値段で勝負する(コストリーダーシップ戦略)
当たり前ですが、価格が「安い」ということは、
お客様にとって、とても魅力的です。
もし競合他社に比べ、原価が低ければ、お客様に安い価格を提示することが可能です。
性能や、機能が、競合他社と差がなければ、その価格差は、圧倒的な優位につながります。
お客様に対して、同じ金額を提示する場合も、自社の原価が低ければ、
より多くの粗利を得られるため、販売促進に多くの費用を投じることができ、
優位に競争を進めることができます。
大量生産で、設備投資が薄まりやすい、製造業やインフラビジネス、
ビジネスが拡大しても、原価が上がりにくい、ソフトウェア業界やITビジネスは、
規模を大きくすることで、原価を下げることができます。
当たり前ですが、常に、原価を下げることを目指しましょう。
4.競争戦略にとらわれない、まったく新しい商品を創り出す
冒頭に申し上げたように、自社の商品の独自性が唯一無二であれば、
競合はありません。
独自性の高い事業の目的を定め、独自性のある商品を創り出すことができれば、
ブルーオーシャンと呼ばれる、競争に巻き込まれない環境に到達することができます。
新商品の開発では、「だれ」に注目することは、もちろん大切ですが、
実は、「特定の状況」に注目することも大切です。
たとえば、汗を拭きたい、汗を抑えたい、という要望は、冬よりも夏に発生します。
疫病が流行すると、だれもが、疫病にかからないようにしたいという要望を持ちます。
だれもが、要望を持つのであれば、
「だれ」というターゲットを絞り込む必要はありません。
事業の目的を定めるにあたり、
「だれ」だけでなく、「状況」に注目することも大切です。
(ジョブ理論では、状況に着目する重要性が説かれています)
ところで、新しい商品に競合他社はいないように見えますが、
実は、手ごわい競合が存在します。
それは「買わない」という選択肢です。
新しい商品は、実績がなく、信用の積み重ねもないため、
支払意志額が低くなりがちです。
そういった時には、
新しいもの好きな「イノベーター層&アーリーアダプター層」に
働きかけるのが良いとされています。
購買意欲を高めるためには、商品を購入するメリットだけでなく、
商品を購入しないデメリットをお客様に伝えることで、
潜在状態の問題を顕在化することも、効果的です。
(デメリットを伝えることで、問題を顕在化させる具体的な手順は
SPIN営業術にて解説しています)
競合他社との勝ち負けに忙殺されつづけるのではなく、
より広い目線で、お客様の要望に応え、社会に貢献することを目指しましょう。
〇「マーケティング志向のための7つの行動則」
・お客様/見込み客の立場で考え、適切にコミュニケーションする
〇 「マーケティング志向のための7つの行動則」の目的
マーケティングの基準軸を明確にすることで、創意工夫による、「需要の創造」「新商品の創造」「新技術の創造」「市場の創造」を促進する。
〇 「マーケティング志向のための7つの行動則」の意義
マーケティング志向を広めることで、企業の成果物を、適切な消費者にご採用いただくことを促進し、社会の進歩発展に貢献する
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