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家庭用スキャナと業務用ドラムスキャナの違いってなんなのというお話:2 〜読み込み濃度編〜

岡村印刷工業株式会社
Posted by 岡村印刷工業株式会社 on May 21, 2021 6:46:41 PM
そもそも「濃度」ってなんだ?

 

濃度は「濃さの度合い」...どれだけ濃いかを表す数字です。「光をどれだけ遮断するか」を示す数値となります。単位はありません。

濃度は、反射率の逆数の常用対数(高校の数IIで習いましたね...汗)で求めることができます。

例えば光をあてて

100分の1(1%)だけを透過(反射)したら濃度は「2」

1000分の1(0.1%)だけを透過(反射)したら濃度は「3」

10000分の1(0.01%)だけを透過(反射)したら濃度は「4」

という感じで、数字が高くなればなるほど、遮断率が高くなります

 

スキャナが読み込める最大濃度はカタログの「最大読み込み濃度」を見ればわかるはずですが...

 

最近、日本のサイトやカタログでは「最大光学濃度(Dmax)」の数字を見ることが少なくなりました。ざっと見ただけでは最大読み込み濃度を表記しているのは「DS-G20000(Dmax3.8)」ぐらいでしょうか?

 

 

 

「正味の最大読み込み濃度」を調べるには「実際にスキャンした画像を評価」して調べます。

 

デジタルカメラでもISO感度を上げると暗い場所でも撮影できますが、得られる画像はノイズが多くザラザラしていたりします。日本のお客さんは画質に厳しくて迂闊に掲載できないんだろうなぁ...と少し同情しつつも、容赦なくチャートで計測していきます。

解像度と同様に、自然画像では客観的に評価できないので、私たちがスキャナの性能を評価する時には、「ステップタブレット」というチャートを使います。

 


「ステップチャート」の各段の濃度は

1段目:0.07

2段目:0.24

3段目:0.44

4段目:0.64

5段目:0.83

6段目:1.03

7段目:1.24

8段目:1.44

9段目:1.64

10段目:1.83

11段目:2.03

12段目:2.24

13段目:2.44

 14段目:2.65

15段目:2.85

となっています。

 

スキャナの測定限度を超える濃度は、全て同じ濃度として測定されます。つまり、段差が無くなります。

(例)Dmaxが2の場合、11段目以降は全て同じ濃度になるため、11段目と12段目の段差が消える、つまり、11段目以降は同じ濃さになる。

この結果を活かして、スキャナの測定限度を判定していきます。

 

ドラムスキャナと家庭用スキャナの読み込み濃度の対決、気になる結果は...

 

今回使用したステップタブレットの最大濃度はDmax2.85です。Dmax2.85以上の濃度を測定するために、ステップタブレットを「2枚重ね」でスキャニングしていきます。

DS-G20000のカタログスペックはDmax3.8なので10段目(3.66)と11段目(4.06)の境目は判別できるが、11段目(4.06)と12段目(4.48)の境目は見えないはずです。ドラムスキャナのカタログスペックはDmax4.3なので11段目(4.06)と12段目(4.48)の境目が判別できるはずですが、実際はどんな結果になったでしょう。

 

スキャンした結果は...

 

 

 

 

 

 

 

 

ES-G20000は9段目(D3.3)と10段目(D3.7)の境目が見えていますが、10段目(D3.7)と11段目(D4.1)は、ほぼ、わかりません

SG-8060は10段目(D3.7)と11段目(D4.1)の境目が見えていますが、11段目(D4.1)と12段目(D4.5)はわかりません。

ただ、どちらも、ほぼカタログスペック通りの性能を出していることがわかりました。

ただ、注目して頂きたいのは、ノイズです。ES-G20000に比べると、SG-8060はノイズが圧倒的に少ないことが分かります。(さすがドラムスキャナ、良い仕事していますね!!)

 

 

フィルムの濃度はどれぐらい?

 

フィルムの性能を示すデータシートの中に「特性曲線」というものがあります。下のグラフは富士フィルムのVelvia100の特性曲線です。

グラフの縦軸のいちばん大きな数値がフィルムの持つ最大濃度で、Velvia100の場合はRGB各色で3.4〜3.8ぐらいあることがわかります

 

スキャナで原稿をデータ化する時には、原稿より濃い濃度を読み込める性能がなければシャドウ部の濃淡を再現できません。今回比較した両機種とも、Dmax3.8以上を備えているので、「濃度差を判別できる」という点では要求を満たしていますが、ES-G20000はノイズが多いことで暗部の解像度が低下する可能性があります。

 

 

階調を活かすには色深度(ビット数)も大切です

最大濃度4.0のフィルムは、「1から10000分の1の間の光を判別できるフィルム」で、少し強引に言えば「10000階調分の光が判別できるフィルム」とも言えます。一方、スキャナの読み込み設定にはどのスキャナも24bit(RGB各色8bit)と48bit(RGB各色16bit)の設定があります。

各色8bitは各色256階調(2の8乗)

各色16bitは各色65,536階調(2の16乗)

という意味ですが、これを少し強引に濃度に換算すると

8bitは256分の1の光を判別できる=D2.4

16bitは65,536分の1の光を判別できる=D4.8

となります。

白黒フィルムの最大濃度はD2.0ぐらいなので8bitでもOKですが、リバーサルフィルム の場合は最大濃度は各色D4.0程度あるので8bitでは階調をすべて読み込めない可能性があります。

 

 

読み込み濃度対決のまとめ

今回のテストでは両機種ともカタログスペックの性能を有していることがわかりました。ただ、ES-G20000はノイズの発生が多いので、フィルムをデータ化する際にはこの点は考慮する必要があります。

 

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Topics: スキャナ, デジタルアーカイブ