年賀状の制作の季節がやってきましたね。
久しぶりにインクジェットプリンタを動かしたら、ヘッドのクリーニングが始まってしばらくするとインク切れの表示が出て、あわててインクを買いに走る。そんな季節がやってきましたね。皆さんは年賀状の準備、お済みでしょうか?
インクジェットプリンタの、いろいろなインクの組み合わせ
皆さんの家にあるインクジェットプリンタのインク、何種類ありますか?
ちなみに我が家のプリンタは「C:シアン」「M:マゼンダ」「Y:イエロー」「Bk:ブラック」の4つ。高画質なプリンタだと、ライトシアン、ライトマゼンダ、グレーなどの「ライト系インク」や、レッドやブルー、グリーンなどの「特色系インク」も搭載されていますね。
色数を増やすには理由があります
高画質をウリにしているプリンタほどインクの数が多い傾向がありますが、どうしてインクを増やすのでしょう。
それは「ざらつき感を減らす」「あざやかな写真画質を実現」という2つの目的です。
インクを、ライト系と特色系に分けると、それぞれ、
ライト系インクには「絵柄の明るい部分のざらつきの軽減」
特色系インクには「CMYBkの基本4色では再現できない色を再現する」
効果があります。
この技術、実はオフセット印刷がお手本です
色数を増やすのは、インクジェット印刷だけの技術ではありません。
現在、商業印刷の主流であるオフセット印刷でも、
ダブルトーンやトリプルトーンでは、ライト系インキを、
HiFi印刷、ヘキサクローム、美術印刷での特色追加では、特色系インキを使います。
古くから、粒状感や色再現領域の改善を狙って使われている技術なのです。
トリプルトーンの一例
トリプルトーンは、ベースとなる「主版」に、調子を出す「グレー版」と、濃い部分を締める「骨締版」を加えます。
[サンプル]
トリプルトーン
弊社の2021年仏像カレンダーは「高精細印刷+トリプルトーン」
弊社2021年仏像カレンダーは「高精細印刷+トリプルトーン」の豪華仕様です。一見、モノクロに見えますが、ルーペで覗いてみると…
ベージュ・黒・濃黒の3色で印刷されています。
ちなみに今回のカレンダーで使われた3色はそれぞれ
ベージュ:明るい部分の粒状感の低減と、写真を温黒調に
黒 :メインとなる調子
濃黒 :濃い黒をより黒く、しめる
の役割を持っています。
ダブルトーンやトリプルトーンの場合、基本グレー系3色で、淡色はベージュやブルーに少し色を振るのがセオリーですが、変わったところだと「グレーのかわりにシルバー」とか、「黒+緑+水色」など、白黒写真の調色のように白黒印刷ながら、いろいろな表現が可能です。
※ 高精細について、解説した記事はこちらです。
※ 高精細の印刷物には、元データも十分なデータ量が必要になります。
業務用ドラムスキャンについての記事はこちらです。
→ドラムスキャナと家庭用スキャナの違いってなに?というお話:1 〜読み込み解像度編〜
この分野は、いまだに経験と勘がモノをいう世界です
インクジェット印刷のインクは、色や、色の入り具合を、メーカーが決めていて、私たちはそれを変更することはできません。
対して、オフセット印刷では、ライト系インキも、特色系インキも、どこに何色を加えるかは自由自在。製版の技術者は、無限の組み合わせの中から、原稿やクライアントの意向と向き合いながら、インキの組み合せや、それぞれの色の入り具合を決めていきます。Photoshopを使えば、ある程度、仕上がりの予想ができますが、実際の印刷では、色の組み合わせやトーンの入れ具合の自由度が高い分、技術者の経験や勘が、物を言います。トリプルトーンは、センスと技術力が求められる、超絶技巧の印刷技法なのです。
トリプルトーン印刷、超高精細印刷のサンプルをご覧になりたい方は、下記、フォームにご入力ください。(印刷物の制作をご検討の方に限らせて頂きます。ご容赦ください)
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