超印刷

印刷について、発信しています。

高精細印刷を評価する単位、dpi と線数について

岡村匡倫
Posted by 岡村匡倫 on Nov 25, 2020 3:26:58 PM

 

秀でた印刷技術の証明として挙げられることの多い「高精細印刷」において、細かさを表す単位として使われるのは、「線数」です。では、線数とは、何なのでしょうか?

 

[目次]

1.線数とは(dpi、lpi、線数の関係)

2.線数が多いとどうなるのか

.1.高精細印刷のメリット

.2.高精細印刷のデメリット

.超高精細印刷に取り組む理由

 

1.線数とは(dpi、lpi、線数の関係)

 

線数の前に、まず、dpi(dot per inch)を、ご説明します。

 

dpiとは、「1インチあたりに並ぶ点の数」のことです。

・5dpi であれば、1インチ当たり5個の点

・10dpi であれば、1インチ当たり10個の点

で表現されているということになります。

つまり、dpi が増えれば増えるほど、

点は小さくなり、数は多くなる、ということが言えます。

 

 

dpiと線数

 

 

次に、線数です。

単位は lpi(line per inch)で、「1インチの間に、白と黒の線を何組み、再現できるか」になります。

 

白と黒の線を再現するには2つの点が必要なので、線数はdpiの数字の半分、6dpi =3線、12dpi=6線になります。

線数-1

高精細の世界に置き換えると、

300線の印刷は、1インチの中に300本の線を引くので、600dpi

1000線の印刷は、1インチの中に1000本の線を引くので、2000dpi

になります。

 

2.線数が多いとどうなるのか

 

では、線数が多いとどうなるのでしょうか。

 

テレビ、モニターと言ったディスプレイデバイスでは、ハイビジョン、4K、8Kといった呼び方で、細かさを呼んでいます。細かくなればなるほど、より、きれいな画像が見られるということは、誰でもご存じかと思いますが、それ以外にも違いはあるのでしょうか?

 

2.1.高精細印刷のメリット

 

> 細部を再現できる

写真、絵画、墨跡といったアナログ媒体ならではの「ボケ」「にじみ」「かすれ」まで、忠実に再現できます。現物の忠実な再現が求められる文化財の複製には、特に重要です。

 

> 色が鮮やかになる

網点の周囲ではドットゲインという現象が発生しています。ドットゲインの一種であるオプティカルドットゲインは、印刷物の色再現域と関係がありますが、高精細印刷になるほど増大し、色再現域を広げることがわかっています。

 

> 階調が滑らかになる

網点が細かくなることで、階調が細かくなり、微妙な色合いを表現することができるようになります。特に、ライト部での違いは顕著です。

 

> モアレ、ジャギーが無くなる

モアレ、ジャギーといった現象は、網点が規則的に並ぶことで、人間の目が規則性を発見することで発生します。高精細・精密印刷で、解像力が上がると、人間の目が、網点の存在を認識できなくなり、モアレ、ジャギーを認識することができなくなります(つまり、無くなります。)

 

 

2.2.高精細印刷のデメリット

高精細印刷にメリットがあるのであれば、すべて、高精細印刷にすればよいと思うかもしれません。ですが、高精細印刷には、いくつかのデメリットがあります。

 

>印刷が不安定になる

dpi・線数が増えると、網点は小さくなります。

オフセット印刷は、水と油の反発を利用して、印刷部と非印刷部の境界を作ります。網点が小さくなると、細部にまで、湿し水を行き渡らせる必要があり、湿し水を柔らかくする必要があります。しかし、その結果、湿し水の表面張力も弱くなってしまうため、印刷部と非印刷部の境界が崩れやすくなります。水を行き渡らせること、水と油が混じらないこと、ふたつの相反する要素のバランスのためには、高度な管理が求められます。

 

>濃度を出すのが難しくなる(インクを盛ることができない)

網点が小さくなることで、紙面上のインクの層が薄くなり、濃度感が下がります。(対策として、高濃度インクを使用することもあります)

 

>刷版機材の仕様

オフセット印刷では、CTP(Computer To Plate)と呼ばれる露光機で、版を作ります。高精細のために、より小さな網点を焼き付けるには、特別な機材が必要になります。また、網点の数も増えるので、刷版にかかる時間も大幅に倍増します。同様に、データから網点データを作成するRIP( Raster image processor)についても、特殊な仕様が求められます。

 

>原稿データの容量増加

元データについても、印刷に耐えうる、十分なデータ量が必要になります。原稿のスキャニングや、写真撮影では、注意が必要です。線数が2倍になると、面積あたりの網点数は、2の二乗、つまり、4倍になります。同様に、データ量も、線数の倍率の二乗に比例します

 

 

3.超高精細印刷に取り組む理由

 

100線の印刷でも、文字の判別だけであれば、まったく問題ありません。また、一般的には、300線を越えれば、高精細と呼ぶことができます。しかし、岡村印刷では、300線を大きく超える、業界最高水準の1000線相当で印刷する技術を培ってきました。それは、「印刷物はたしかに実物ではない。だからこそ、より本物に近い表現を目指したい」という創業者の想いがあったからです。

 

※ 高精細&トリプルトーンを使った弊社社用カレンダーの記事です。

   →トリプルトーン&超高精細!印刷の超絶技巧、仏像カレンダーのお話

 

今回、超高精細印刷を体験してみたいという方のために、サンプルとして、弊社の社用カレンダーをお送りさせて頂くことにしました。ご希望される方は、下記フォームから、お申し込みください。(※申し訳ございませんが、同業他社からのお申込みは、お断りしております)

 

 

 

 

 

Topics: 印刷技術