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競争に巻き込まれない商品開発「未来からのマーケットイン」とは

岡村匡倫
Posted by 岡村匡倫 on Jul 22, 2022 11:55:41 AM

 

既存商品に頼り続けるのではなく、

常に、新しい商品を開発しつづけることは、

企業の永続的発展には、必要不可欠です。

 

マーケットインの問題点

 

商品開発の基本は、市場のニーズに応える「マーケット・イン」です。

市場を調査し、ターゲット顧客を設定し、新商品を開発し、投入します。

 

しかし、せっかく周到に準備して、商品を投入しても、

たいてい、先行企業が競合となる商品を展開しています。

そうすると、先行企業との競争は避けられません。

 

つまり、市場でニーズがあると分かっていても、

競合他社に打ち勝てる、自社の強みがなければ、

競争に参入できない、ということです。

 

プロダクトアウトの問題点

 

もし、社会に存在しない商品を

「プロダクト・アウト」で作り出すことができれば

先行企業との競争を引き起こすことなく、

新市場を作ることができます。

 

しかし、商品作りが、作り手の自己満足、独りよがりになってしまうと、

新商品が世の中に出ても、だれも、手に取ってくれないかもしれません。

費やしたエネルギー、資産は、無駄になってしまいます。

 

 

売れる商品とは

 

「売れる商品」は、

自社の得意なことと、お客様が求めることが一致したときに、

生まれます。

 

売れる商品

 

マーケットイン式で、

お客様が求めること(右の丸)を中心に考えると、

自社が勝てない領域に踏むこむこととなり、

 

プロダクトアウト式で、

自社が得意なこと(左の丸)を中心に考えると、

お客様が求めることから外れてしまう危険があります。

 

※ 「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の違いは、

   こちらの記事でも取り上げております。

   →初心者にもわかりやすいマーケティング

 

弊社は印刷会社です。

15世紀に生まれた印刷技術は、情報伝達の最も強力な方法として、

永らく、世界に貢献してきました。

 

しかし、デジタルデバイスの進歩とともに、

情報伝達の中心は、紙媒体からオンラインへと、移行しています。

 

弊社も、印刷会社として、紙媒体に囚われない

新商品開発の取り組みを行ってきましたが、

どうすれば失敗を避け、成功できるか、

悩みを抱えていました。

 

そのことを、ある先輩の経営者の方にご相談をしたとき、

未来からのマーケットイン」という言葉を、教えて頂きました。

 

未来からのマーケットインとは

 

未来からのマーケットインとは、

「未来の社会で、求められる商品を作る」

ということだそうです。

 

いま、市場に見えているお客様には、多くの競合他社が群がっています。

今、見えているお客様を相手にしていては、競争から逃れられません。

そうではなく、未来の社会での課題を捉えた商品づくりをすることで、

競争に巻き込まれない商品を作ることができる、という考えです。

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そのお話をお聞きした時、

「ビジョナリー」と呼ばれる経営者は、

「今」ではなく、「未来」を見て、商品を作っている。

だから、奇想天外に見える商品開発を行っても

お客様の求めていることから、外れないのだと、知りました。

 

現代から見ると、「プロダクトアウト」に見える商品づくりも、

未来の時点から見ると、「マーケットイン」になります。

つまり、「マーケットイン」も、「プロダクトアウト」も、

お客様の要望に応える、という点では、同じであり、

違いは、時間軸だけ、と捉えることができます

 

未来を見て、商品づくりをするメリット

 

お客様の求めに応える「マーケットイン」は、

自社の強みから、外れてしまうことがあります。

このことについても、「未来」という時間軸は

解決策を提示してくれます。

 

それは、「時間をかけて、努力すれば、成長できる

ということです。

 

たしかに、自分の強みから外れてしまう商品づくりに、

「いま」応えることは難しいかもしれませんが、

「未来」という時間軸の中で考えると、実現性が出てきます。

 

未来への成長

 

さらに、中長期的な目線で、商品づくりを行うことで、

揺らぎの無い、一貫性のある商品づくりが実現され、

お客様からの信用、ひいては、ブランディングに、つながっていきます。

 

 

「すでに起こった未来」を見つける

 

しかし、未来に、どのような時代が来るのかを、

簡単には見通すことは、簡単ではありません。

 

そのことについて、ドラッカーは、

「すでに起こった未来」と呼んでいます。

 

それは、

 >今日の行動の基礎に、予測を据えてもムダである。

 >望みうることは、すでに発生したことの未来における影響を見通すこと

が重要だということ。

 そして、現在、知るべき「すでに発生したこと」に、

 >①人口構造

 >②知識

 >③ほかの産業、ほかの国、ほかの市場

 >④産業構造

 >⑤企業の内部

をあげています。

 

さらに、

 >未来は今日とは違うものであって、かつ予測できないものであるがゆえに、

 >逆に、予測できないことを起こすことは可能である

そして、

 >未来を予言する最善の方法は、未来を作り出すことである

と、説いています。

(詳しくは、「すでに起こった未来――変化を読む眼」をご参照ください)

 

 目の前のことを大切にしつつも、

さらに先、もっと先を見通せる経営者になりたいと思います。

 

Topics: マーケティング