既存商品に頼り続けるのではなく、
常に、新しい商品を開発しつづけることは、
企業の永続的発展には、必要不可欠です。
マーケットインの問題点
商品開発の基本は、市場のニーズに応える「マーケット・イン」です。
市場を調査し、ターゲット顧客を設定し、新商品を開発し、投入します。
しかし、せっかく周到に準備して、商品を投入しても、
たいてい、先行企業が競合となる商品を展開しています。
そうすると、先行企業との競争は避けられません。
つまり、市場でニーズがあると分かっていても、
競合他社に打ち勝てる、自社の強みがなければ、
競争に参入できない、ということです。
プロダクトアウトの問題点
もし、社会に存在しない商品を
「プロダクト・アウト」で作り出すことができれば
先行企業との競争を引き起こすことなく、
新市場を作ることができます。
しかし、商品作りが、作り手の自己満足、独りよがりになってしまうと、
新商品が世の中に出ても、だれも、手に取ってくれないかもしれません。
費やしたエネルギー、資産は、無駄になってしまいます。
売れる商品とは
「売れる商品」は、
自社の得意なことと、お客様が求めることが一致したときに、
生まれます。
マーケットイン式で、
お客様が求めること(右の丸)を中心に考えると、
自社が勝てない領域に踏むこむこととなり、
プロダクトアウト式で、
自社が得意なこと(左の丸)を中心に考えると、
お客様が求めることから外れてしまう危険があります。
※ 「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の違いは、
こちらの記事でも取り上げております。
弊社は印刷会社です。
15世紀に生まれた印刷技術は、情報伝達の最も強力な方法として、
永らく、世界に貢献してきました。
しかし、デジタルデバイスの進歩とともに、
情報伝達の中心は、紙媒体からオンラインへと、移行しています。
弊社も、印刷会社として、紙媒体に囚われない
新商品開発の取り組みを行ってきましたが、
どうすれば失敗を避け、成功できるか、
悩みを抱えていました。
そのことを、ある先輩の経営者の方にご相談をしたとき、
「未来からのマーケットイン」という言葉を、教えて頂きました。
未来からのマーケットインとは
未来からのマーケットインとは、
「未来の社会で、求められる商品を作る」
ということだそうです。
いま、市場に見えているお客様には、多くの競合他社が群がっています。
今、見えているお客様を相手にしていては、競争から逃れられません。
そうではなく、未来の社会での課題を捉えた商品づくりをすることで、
競争に巻き込まれない商品を作ることができる、という考えです。
そのお話をお聞きした時、
「ビジョナリー」と呼ばれる経営者は、
「今」ではなく、「未来」を見て、商品を作っている。
だから、奇想天外に見える商品開発を行っても
お客様の求めていることから、外れないのだと、知りました。
現代から見ると、「プロダクトアウト」に見える商品づくりも、
未来の時点から見ると、「マーケットイン」になります。
つまり、「マーケットイン」も、「プロダクトアウト」も、
お客様の要望に応える、という点では、同じであり、
違いは、時間軸だけ、と捉えることができます。
未来を見て、商品づくりをするメリット
お客様の求めに応える「マーケットイン」は、
自社の強みから、外れてしまうことがあります。
このことについても、「未来」という時間軸は
解決策を提示してくれます。
それは、「時間をかけて、努力すれば、成長できる」
ということです。
たしかに、自分の強みから外れてしまう商品づくりに、
「いま」応えることは難しいかもしれませんが、
「未来」という時間軸の中で考えると、実現性が出てきます。
さらに、中長期的な目線で、商品づくりを行うことで、
揺らぎの無い、一貫性のある商品づくりが実現され、
お客様からの信用、ひいては、ブランディングに、つながっていきます。
「すでに起こった未来」を見つける
しかし、未来に、どのような時代が来るのかを、
簡単には見通すことは、簡単ではありません。
そのことについて、ドラッカーは、
「すでに起こった未来」と呼んでいます。
それは、
>今日の行動の基礎に、予測を据えてもムダである。
>望みうることは、すでに発生したことの未来における影響を見通すこと
が重要だということ。
そして、現在、知るべき「すでに発生したこと」に、
>①人口構造
>②知識
>③ほかの産業、ほかの国、ほかの市場
>④産業構造
>⑤企業の内部
をあげています。
さらに、
>未来は今日とは違うものであって、かつ予測できないものであるがゆえに、
>逆に、予測できないことを起こすことは可能である
そして、
>未来を予言する最善の方法は、未来を作り出すことである
と、説いています。
(詳しくは、「すでに起こった未来――変化を読む眼」をご参照ください)
目の前のことを大切にしつつも、
さらに先、もっと先を見通せる経営者になりたいと思います。
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