このたび、聖林寺様の仏像に関わる、オリジナルグッズをお作りさせて頂きました。聖林寺という由緒正しいお寺と、オリジナルグッズという親しみやすさのギャップがステキでしたので、みなさまの参考になればと、情報を共有させて頂きます。
※ グッズを購入できるECサイト(Rhombus2)はこちらです。
聖林寺とは
奈良の桜井市にあるお寺です。奈良盆地を望むのどかな境内には、ゆったりとした静かな時間が流れており、訪れると、ついつい長居をしてしまいます。
堂内からの眺めも素晴らしく、大神神社のご神体でもある三輪山、卑弥呼の墓とも考えられる箸墓古墳も、一望できます。
堂内から望む奈良盆地の風景
聖林寺と聞いて、まず思い浮かぶのは奈良時代を代表する国宝・十一面観音像です。現在は本堂から、さらに階段を上ったところに建つ収蔵庫に安置されています。畏怖の念を抱かずにはいられないお顔や美しい指先…。その姿は多くの人々を魅了してきました。
そんな魅力的な十一面観音像だけでなく、大きさと存在感に圧倒される本尊の子安延命地蔵像、その左右にいらっしゃるふっくらとした童子体形でおしゃれな服装をした掌善童子像、掌悪童子像も、本当に魅力的なお姿をされています。
今回、制作したオリジナルグッズ
・ クリアフォルダー
・ マスキングテープ5種
・ ロール付箋
・ 一筆箋
聖林寺ご住職 倉本さまへのインタビュー
>今回、どういった経緯で、グッズを作りたいとお考えになったのですが?
聖林寺のことを、もっと多くの人に知って頂きたい、もっと多くの人とご縁を結んでいただきたいと、ずっと考えておりました。お寺にご拝観されるのはご年配の方が多いですが、聖林寺では安産の御利益を授けてくださる子安延命地蔵像がいらっしゃいますので、ぜひ若い方にも知って頂きたいという気持ちから、オリジナルグッズを作ることに思い至りました。
>どういう経緯で、岡村印刷に相談されたのですか?
岡村印刷さんとは、先代住職の時代からのお付き合いです。以前、岡村元嗣会長(当時は社長)から、とある神社で、鳥居建替のための奉賛に対しての返礼品をお造りになった、とのことをお聞きしたことがありました。そのことを思い出して、岡村印刷さんにグッズ制作をご相談してみました。
>グッズを作るにあたっては、どういったことに、こだわりたいと思われましたか?
聖林寺と言えば、十一面観音が有名ですが、ご本尊の子安延命地蔵像、脇侍の掌善童子像、掌悪童子像も、大切な仏さまです。妊娠・出産そして、さらに、生まれた子供の健やかな成長は、わたしたち全人類の明るい未来のために、欠かすことができません。
子安延命地蔵像
(左)掌悪童子 (右)掌善童子
余談ですが、白洲正子さんが、初めて聖林寺に来られた時に、地元の方に「十一面観音のある聖林寺さんはどちらですか」と、道を尋ねたときに、「ああ、地蔵さんの聖林寺さんね」と答えられたそうです。地元の方にとっては、信仰の対象としての聖林寺を感じるエピソードかと思います。
掌善童子、掌悪童子は、矜羯羅(こんがら)童子、制多迦(せいたか)童子というお名前でお呼びすることもあります。子供のきれいな心や、元気でやんちゃな心を司る、見た目も愛らしい童子です。
実物を見て頂くと分かるのですが、童子像のお着物の絵柄は精細、精緻に書き込まれています。今回、グッズにするにあたっても、イラスト上で、かなりの細部まで再現して頂きました。あしらいの意匠も、聖林寺にゆかりがある紋様にしています。たとえば、ロール付箋の子安延命地蔵像の上部には、本堂の天蓋の模様をあしらっています。掌善童子像、掌悪童子像の下部の模様は、着物の紋様から取っています。十一面観音の上下の南天の絵は、聖林寺に自生している草木です。
ロール付箋
着物柄
天蓋
イラストのテイストは、写実性より、かわいさを前面に出したいと考えていましたが、仏像の特徴を表すことができるよう、全身を書いていただくようお願いしました。特に、十一面観音は、立ち姿、フォルムにはこだわって、何度も手を入れて頂きました。
>イラストレーターも、ご住職にご無理を言って、何度も、細部のお写真をお願いしたと申しておりました。ところで、周りのみなさまのご反応は、いかがでしたでしょうか?
昨年に行った第一回目のクラウドファンディングの返礼品にも使わせていただいたのですが、応募された方は、40代前後の応募が最も多かったです。今までにない年代層の方にも、ご興味を持っていただくことができたように思います。
マスキングテープは、女性から好評です。男性からは、使い道が分からないとのご意見もありましたが笑。ロール付箋は、4つのデザインが交互に入っているので、バリエーションがあって楽しい、という声もお聞きしています。クリアファイルは、珍しい小さめのサイズで、意外と使いやすいとのお声も頂いています。
マスキングテープとクリアフォルダー
>どこで購入することができますか?
ここ、聖林寺と、東京にあります奈良まほろば館にて、販売しております。また、岡村印刷さんが運営されているYahooストアの店舗「Rhombus2※」でも、お取り扱い頂いております。
(※ 岡村印刷が運営するグッズサイトです。美術散華など、仏教美術に関わるグッズを中心に取り扱いしております)
>はい! お取り扱いさせて頂き、心より御礼申し上げます!
>ところで、今後、聖林寺様が取り組みたいことはどんなことですか?
2021年6月から、東京都国立博物館での展覧会が予定されています。この展覧会をきっかけとして、より多くの方に、聖林寺とご縁を結んで頂きたいと考えています。
また、2022年に向けて、十一面観音を納めている観音堂の改修を予定しています。文化財を後世に受け継ぐために、災害対策として、耐震、免震、防火を強化することが、第一の目的ですが、それだけでなく、十一面観音を、もっとじっくりと見て頂く環境を整えていく予定です。もともと、十一面観音は、大御輪寺に納められていました。当初の奈良時代には、少し離れたお堂から仰ぎ見るような位置に、安置されていたそうです。
奈良時代当初の十一面観音像の祀り方
改修後は前室が設けられ、本来の安置されていたのと近い位置関係で、観音様を拝むことができます。十一面観音を囲むガラスも、映り込みの少ないガラスに差し替わり、さらに、後ろにも回る込めるようになりますので、お背中も拝観いただけるようになります。
観音堂改修イメージ
>それは本当に楽しみですね!私も必ずお伺いします。
>貴重なお話をお聞かせくださいまして、ありがとうございました。
このあと、特別に、本来の拝観場所に近いと思われる位置を教えて頂き、十一面観音様を拝見させて頂いたのですが、そうすると、十一面観音との目線が自分に注がれている、お互いに見つめ合っている感覚がありました。観音堂が改修されました折には、ぜひ、聖林寺様に、実際に足をお運び頂き、十一面観音様の視線を、感じて頂けると幸いです。
グッズ制作担当者インタビュー
>まず、どういったお仕事をされているのか、自己紹介をお願いできますでしょうか。
印刷物の営業を行っています。お客様のご依頼に応えて、印刷物の企画制作から、進行管理、納品まで、全体をコーディネートしています。今回は、ご住職様とお話をしながら、グッズの企画、デザインを進めました。
>今回、どういったことに気を使って、仕事をされましたか?
倉本住職様から、「オリジナルグッズのデザインは、若い人にも興味を持っていただけるような、かわいらしさと、親しみやすさのある雰囲気にしたい」とお聞きしておりました。とは言え、題材は、信仰の対象となる「仏様」ですので、デフォルメにあたり、抑えるべき特徴を、きっちり抑えるように心がけました。たとえば、表情、指の形(印)、お花のかたち、台座の意匠、お地蔵様の喉の三本線といった点です。
また、住職様の想いを、きっちりとお聞きすることが、何よりも大切だと考え、丁寧なコミュニケーションを心がけました。デフォルメの方向性を探るために、最初に数案、ラフ案をご提出して、住職様のイメージを掴んでから、住職様のお考えをお伺いしてブラッシュアップしていきました。また、今回は、コロナウィルスの影響もあり、現地にお伺いして、実物を確認することが難しかったため、色味については、住職様にお願いして、実際の色味をご確認頂きながら、微調整を繰り返しました。
製品形状は、日常的に使いやすいように、工夫しています。たとえば、一筆箋は、海外の方にも使いやすい横型タイプにしています。クリアファイルは、持ち歩きやすい小さめのA5サイズです。ロール付箋は、一枚ずつカットしやすいよう、切り取り線を入れています。ロール付箋は、全面に糊が付いているので、メモはもちろん、インデックスとしても、使っていただくことができます。
>今回のお仕事で、楽しかったことは、どんなことですか?
弊社では、「NARA×Goods」というサイトで、奈良に関わるオリジナルのグッズを制作し、販売しています。社内の仏像好きが集まって、自主的に始まったプロジェクトですが、さまざまなご縁を頂いて、聖林寺様という素晴らしいお寺からのお仕事に繋がったことを、本当に嬉しく思います。
また、倉本住職様の「聖林寺をもっと多くの人に知って頂きたい、縁を繋いでいただきたい」という真剣な想いを感じながら、お仕事をさせて頂いたことも、やりがいとなりました。
>お伝えしたいことはありますか?
まず、売れてほしいですね(笑)。
聖林寺様に「グッズを作ってよかった!!」と思って頂きたいと考えています。
まとめ
フェノロサが驚嘆したことで有名な十一面観音像のすばらしさは言うまでもありませんが、ご本尊の子安延命地蔵像も、優しい表情ながら、存在感のある立派な石像です。また、その左右にいらっしゃる掌善童子像、掌悪童子像も、キュートでかわいらしい、本当に素晴らしい仏像です。
2021年6月22日~9月12日には、東京国立博物館での「特別展 聖林寺十一面観音、三輪山信仰のみほとけ」展も予定されており、今後、ますます注目が集まることは、間違いありません。近くには、大神神社、談山神社といった有名な神社もあり、来られた時には、いくつかの寺社仏閣を見て回る予定も立てやすい立地にあります。ぜひ、お越しになってください。
聖林寺様は、2022年4月に向けての観音堂改修のクラウドファンディングの第一弾は、2020年12月24日に達成の上、完了となりましたが、引き続き、第二弾が2021年6月から再開しております。(締め切りは9月16日まで)。みなさまも、この機会に聖林寺様とご縁を結ばれては、いかがでしょうか。
オリジナルグッズの制作にご興味のある方は、こちらからお問い合わせ頂けましたら、サンプルとして、岡村印刷オリジナルグッズの、マスキングテープとロール付箋を、お送りさせて頂きます。(申し訳ございませんが、オリジナルグッズの制作をご検討の方に限らせて頂きます)
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